ホワイトラインバイシクルの林です。
2016年1月7日に、福岡県飯塚市に昨年10月にオープンした「内野宿バイシクルパーク」にMTBを輪行して行ってきました。
今回持参したのはトレック レメディというフルサスペンションバイクです。
博多駅前のホテルからJRを一回乗り換えてパーク最寄りの駅「筑前内野」駅まで行きます。
筑前内野駅のある「筑豊本線」は本線と名が付きますが列車運行本数は少なく、計画的に乗り継ぎしないと二時間くらい到着がずれるタイミングもあります。
博多駅から乗り換え駅の原田まで4駅、乗り換えて筑前内野まで2駅ですが、乗り換え後のワンマン気動車単機で走る切り通しの前面展望と、冷水(ひやみず)トンネル入り口の換気施設の遺構は感慨深いものがありました。
(そのへんは私の所属しているコールマインラボの方で紹介したいですね)
さて、筑前内野で降車して、MTBの入ったevocの輪行袋をゴロゴロさせてパークの受付場所「サイクルガレージプローバ」さんまで向かうのですが、道中がまさに旧長崎街道なので、史跡や案内表示が豊富であっという間に到着しました。
列車ダイヤの関係で早く着いたのでevocをプローバさん店舗前に放置して、向いにある商店で菓子パンとチョコレートなどを購入しつつお喋りをしていました。
札幌からの来客は最も遠方からだとの話から、この商店は数年前に建て直しており、それまでは築200年の建物であった事、今年は特に暖冬である事などをお話しているうちに、時間になりました。
サイクルガレージプローバの店主徳永さんとは、お会いするのは初めてですが仕事の関係で知っている方でした。
店内で1500円を収め受付を行ないゼッケンを受け取り、場所をお借りして自分のバイクを組み立てて準備完了。
そうしている間に、午前中にパークのメンテナンスを行なっていた丹下さんが来店されました。
丹下好一さんは九州のレジェンドDHライダーで、この内野宿バイシクルパークの企画製作・運営の中心人物です。
小樽天狗山で行なっていたJシリーズDHで来道されていたとのことで、北海道話やアノ時代のMTBについても、走りに行く時間が減ってしまうというくらい話が弾みました。
今日はスモールブロックタイヤを装着したハードテールバイクで、一緒に走っていただきました。
内野宿バイシクルパークは、スキー場ではない里山にあるので、リフトやゴンドラはありません。
自走で登って下るのが基本で、日時により予約制の運搬車による搬送があります。
私は自走で登りました。
さて、ゼッケンをバイク・ハンドルに取り付けてパークの入り口まで街中の舗装道路を自走していきます。
古いものを残してある街道が大変楽しい、ロードで走るのも良いでしょう。
ぎりぎり軽トラ1台分幅の未舗装路を登っていくと、コーステープが張られているゾーン「キッズインザホール」が出現、その先に少し開けた場所(いちょう広場)があります。
ここから登り専用の道一本で、すべてのコースへのアプローチができるようになっており、奥に行くほど(登るほど)難易度が高いコースに入れます。
このレイアウトはとても効率的で、コースデザインのセンスと経験、その土台になる地形が優れていなくては実現しません。
難易度が低い下から全てのコースを走ろうと、丹下さんと話しながら登る最中、目に入ってくるコースの丁寧な作りこみが楽しそうで、期待が高まるというか、感動に近い感覚を受けました。
梅林を抜けて(なんと少し梅の花が咲いていた)「スムースタン」の入り口に付きます。
コース図では表現できない縦の動きが楽しめるように作ってあります。
「作ってある」というのが重要なんです。
「上手い人は縦の動きを楽しめます」ではなく「初心者でも楽しめるような縦の動きを作ってある」若しくは「縦の動きを練習できるように作ってある」。
また、そういった動きを連続させる為の曲がり(コーナー)が、つながりが良く、気持ちの良いリズムで入っていけるようになっており、とても楽しいとしか表現できないのが悔しいです。
「アングルズオブバンクス」は地形を生かした縦の動きが多くありまして、基本全てのコースに共通するのですが、路面はガレていないのでハードテールバイクでも楽しめます。
そのまま「スムースタン」につながっていくので、若干急な斜度の「アングルズオブバンクス」を抜けコース幅の広い「スムースタン」でリラックスライドみたいな楽しみ方ができます。
「ジャンプインザリバー」は、パーク内では最も路面が荒れていて、ドロップ(落ち込み)も積極的に作られているのですが、下のコースで十分楽しんだ(練習した〉ライダーであれば十分スピードコントロールしながら下れる斜度になっています。
またこのコースでは、路面の粗さを使い、フルサスペンションバイクのセッティングによる違いなども体感しやすいのではないでしょうか。
サスポンプや交換コイルスプリングを持ち込んでも楽しいかもしれません。
コースの絶対的な長さはルスツのようなゴンドラがかかっている「ゲレンデ」より短いですが、コース全域に隙なく気が使われている、サービスが盛り込まれているわけで、ゲレンデとは似て非なるものとして両立すると強く感じます。
いずれのコースも、終点は「いちょう広場」になるので、何人かで走ってもはぐれる事がないのもよいところ、子供が楽しめる「キッズインザホール」はいちょう広場に面しているのでご家族で楽しめると思います。
ちなみに「キッズインザホール」は子供ゾーンとなっていますが、大人が走っても楽しいですよ!子供優先でお願いします。
さて、いちょう広場から登り返して次は「ムーンランダー」に向います。
前半で走ったコース群との間に大きな尾根が一つ入っており、その出合いでコース入り口が分かれています。
慣れた人でないと、違う山に入ってしまったと思うダイナミックな地形変化がありますが、案内看板にしたがってきれいな道を登って、高い品質で設計整備されたMTB専用路面を迷うことなく走れるというのは常設コースの醍醐味でしょう!
「ムーンランダー」に入ります。
一度バイクを置いて、少し高い位置を併走するトレッキング専用コースを歩いてみます。
すると、どうでしょう、ファンタジーですね、MTBファンタジー。
写真での表現が難しいのですが、札幌藻岩山スキー場うさぎ平コースのようなボウル状の地形で広大、木々が立ち並ぶ明るい森です。
木の間から見渡せるMTBコースは、地形に沿ったものの他にウッドラダーも使った格好良いトラバース区間から、右ターンでドロップインの後ボウル地形に当て込むようなフリフリコーナーを複数経て、森の奥に入っていきます。
実は私、この景色に感動して、しばらく動けませんでした。
美しい、楽しそう、その中にMTBライダーとして入っていける。
当て込み部分も高さ違いで2つのカーブが作られているので、スピードを乗せられなくでもずり落ちずに走れます。
スムースに走って行く丹下さんの走りに見とれながら、自分もでも高い方のコーナーをバッと倒しこんで走れるように練習したいと強く思うのですが、さらに楽しくなるだろうという期待からそう思わせるこのコースは、度胸ではなく丁寧なテクニックを身に着けるために、とても優れていると体感しました。
札幌に戻ってから、少しでも雰囲気を伝えたかったので、ここで手伝ってもらい撮影をしました。
バイクを置いて歩くとコース作りの苦労がはっきりと見えます。
流水の処理構造や土留め、最大限に木を残したまま作られたコースレイアウト、猪が土を掘り返した新しい跡もありました。
それら全て、走っているときの「楽しい」に繋がっています。
ボウル部分から奥の森の中を気持ち良く走って、たどり着くところは「いちょう広場」、尾根が入っているだけで異なった風景をずっと見せてくれました。
その後、何本か走ってパークを出て、宿場町の風景のなかを走り、サイクルガレージプローバさんに戻ってきました。
ゼッケン返却、バイクをパッキングして、列車の時間までコーヒーを頂きお話をさせていただきました。
走っている最中、自分も丹下さんもずっと笑っていました。
私はここに一緒に来たい、走ってみて欲しいMTBライダーを沢山思い浮かべながら走っていました。
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